Mag-log in「もう……イタズラが過ぎるわよ。かまってちゃんなの? 酔っ払ったときの和樹さんみたい」
三葉は呆れたように言いながらも、本気で怒っているわけではないのが、抱き上げる腕の力でわかる。 困ったように笑う、その口元。大島はその表情を、どれだけ見てきただろう。 『今はシラフだ……』 心の中で反論する。 『てか俺、そんなに面倒くさかったのか?』 ふと記憶が蘇る。仕事帰り、コンビニで缶ビールを買ってきて。 ソファにだらしなく座り込んで。意味のない話を延々と続けて。 『なあ三葉、俺さ。聞いてる? ちゃんと聞いてる?』 そのたびに三葉は、台所から顔だけ出して「はいはい」って笑った。 呆れた顔をしながら、ちゃんと最後まで聞いてくれた。 あれが日常だった。何でもない夜。何でもない会話。 それが、どれだけ贅沢だったか。幸せだったか。 『三葉、お前に負担かけたくないんだ』 胸の奥で、言葉が溢れる。 墓のことも、金のことも、これからのことも。本当は全部、自分がやるはずだった。 こんな素敵な妻を一人にするつもりなんて、なかった。 のだが……今は言えない。 喉の奥にあるはずの声は、形にならないまま消えていく。 三葉はスケキヨを胸に抱いたまま、破れたチラシを見下ろしている。 高級墓石の写真が、無残に裂けている。 「またもらってこなきゃね。今度は邪魔しないでよ?」 『わかってるよ』 「ニャァ……」 情けない声だ。情けなさすぎて、自分で自分に腹が立つようだ。 三葉はふと視線を上げ、仏壇の遺影を見る。そこにいるのは、自分。 「ナミさん、本当にあなたのこと心配してくれてるわよ」 三葉の指先が、スケキヨの背中をゆっくり撫でる。 大島は妹を思い出す。両親を亡くしてから、二人きりになった時間。強がっていたのは、いつも自分のほうだった。 兄だから。男だから。泣くのはみっともないと思っていた。 ナミが北海道に嫁ぐ日。父親代わりに挨拶をしたとき、声が震えた。 途中から何を言っているのか自分でもわからなくなって、最後はぐしゃぐしゃに泣いた。 そのときナミは、涙を浮かべながら笑った。 「兄ちゃん、大丈夫だよ」 あの笑顔。あの言葉。 今も、支えられているのは自分のほうかもしれない。 三葉とナミが、電話やLINEで連絡を取り合い、互いを気遣いながら話を進めている。 自分のいないところで。それは寂しくて、同時に誇らしかった。 破れたチラシをそっと重ねながら、三葉が小さく息を吐く。 「……お墓のこと、後回しにしようかな」 ぽつり。独り言のように。けれど、確かに震えている。 「骨、入れちゃったら……」 そこで言葉が止まる。部屋の空気が重くなる。時計の針の音だけが、やけに大きく聞こえる。 「……この家、ほんとに一人になっちゃうじゃない」 その一言は、胸に直接突き刺さる。大島の心臓が、ぎゅっと締めつけられる。 そうか。墓は、ただの石じゃない。区切りだ。 骨壷がなくなるということは、この家から「存在」が一つ消えるということ。 仏壇に向かって話しかける時間も、「いってきます」と言う相手も、形式上は、終わる。 スケキヨは静かに彼女の膝へと乗る。ただ、体重を預ける。何もできない。 慰めの言葉も、未来の約束も、何一つ与えられない。 ただ、いるだけ。三葉は涙を指で拭い、猫の背中を撫でる。 「スケキヨ……あなたも家族よね。ごめんね」 その声は、どこか申し訳なさを含んでいる。 自分が「一人」だと言ってしまったことへの、無意識の謝罪。 くしゃりと笑う。 「いつまでも、一緒にいてね」 その言葉が、深く刺さる。嬉しい。でも、苦しい。 『三葉、俺はここにいる』 叫びたい。 腕を伸ばして抱きしめたい。頬に触れて、涙を拭ってやりたい。 『ずっとそばにいる』 でも…… 「ニャー」 出るのは、それだけ。鳴き声。 猫の身体のまま、彼は三葉の温もりに身を預ける。心臓の鼓動が、すぐ近くで聞こえる。 規則正しく、確かに生きている音。 墓が建とうと。骨が納められようと。形式上、終わりを迎えようと。 それでも。今この瞬間、確かに一緒にいる。 彼女の膝の上で。彼女の涙のそばで。その後、三葉は女の子を出産した。女の子だから、大島の生まれ変わりではないだろうと、三葉と倫典は笑いながら過ごしていた。念の為倉田や美守にも見てもらったがそうではないと言われてやはり違うわよね、と。あの時のことを思い出すこともあったが、それはもう過去のものとなり、三葉と倫典は穏やかな生活を送っていた。もちろん忘れたわけではないのは当たり前である。 スケキヨは大島が抜けた後、奇跡的に体調を取り戻しその後10年生きた。他の雌猫との間に子供ができた。 まさか、と思った三葉たちは子猫たちもみてもらうがそうではないと言われ笑った。「流石にもう猫はないんだろうなぁ、大島さん」「かもね……」 また三葉が抱えていた借金は、轢き逃げ犯からの慰謝料や和解金で賄われ、足りない分は倫典が補填した。 倫典は親戚のドラッグストアの社長となり、順調に経営を続けていた。三葉は、家族との時間を大切にしながら、子供、猫と共に心穏やかに過ごしていた。 そして、16年後。 由花は、剣道を始めていた。容姿は三葉に似ていて、おっとりした性格はどこか倫典に似ている。三葉たちは、穏やかに東京での生活を楽しんでいた。「倉田さんと今度ゴルフ行くから……ごめんね、週末」「いいわよ、大事なお友達じゃない。いってらっしゃい」 二人は仲睦まじい夫婦になった。三葉は大島と過ごした時と少し違うがその時とは完全に気持ちを切り替えている。 ある日、由花が家に同じ剣道部の修哉を招くことを決めた。修哉は少し背が高く、礼儀正しく、どこか控えめな印象を与える少年だった。 三葉と倫典は少し驚きながらも、温かく迎え入れた。「初めまして、高橋修哉です」 彼は静かに挨拶をした。「ようこそ、修哉くん」倫典は微笑みながら、修哉をリビングに案内した。「すいません、お手洗いをお借りしても」「うん、あっちですよ。台所の奥」 修哉が三葉のもとにやってきた。台所に立っていた三葉が修哉の気配を感じ、振り向く。手土産を持っていた。 三葉はしっかりした子だと感心する。「ありがとう、わざわざ。あ……お手洗いはあちらよ」 と三葉が指差すと、修哉はしばらく黙って彼女を見つめ、ゆっくりと口を開いた。「……三葉」 彼はそう言うと、彼女に向かって微笑んだ。 その微笑みには、どこか懐かしさが感じられた。三葉はその笑顔に見
『……?』 スケキヨは再び目を開けると目の前には横たわるスケキヨがいた。『え? どういうことだ? ……す、スケキヨ!!! 起きろ!!!!』 だが声をかけても聞こえていないようだ。 次の瞬間「大丈夫です、まだ生きていますから」 と後ろから聞こえたのは倉田。黒いスーツを着て歩いてきた。 それと同時にスケキヨは大きな欠伸をしてまた寝た。 そう、寝ているだけである。『これはどういうことだ! 倉田さん』 スケキヨ、でなく大島は倉田を見るとしっかりと倉田は目を合わせてきた。 少し恐ろしさを感じる瞳だ。『ここはどこだ。病院……か。三葉たちは?』「三葉さん、またショックで倒れて……切迫流産しかけててすぐ近くの産婦人科に運ばれて。みんなあっちへ」 『三葉……三葉……流産……』 実のところ一度三葉は流産したことがあったのだ。「多分安静にしていれば良いでしょう……心配なさらず」 と倉田は寝ているスケキヨを撫でた。「あなたはスケキヨに転生しましたが……適応せず……このままでは栄養失調で死ぬところでした。だからあなたをスケキヨから抜きました。あ、怪我は関係ないので……少しずつ治るでしょう」『抜く? え? てか生まれ変わりならこれは俺だろ?』「ですけども生まれ変わりというよりもスケキヨに乗り移った、と言った方が早いでしょう」『……どういうことだよ。もし可能な限りスケキヨとして三葉たちのそばにいたいのに』「……未練たらたらだな」『中にいるのは俺じゃなくてなんなんだよ』「奥に眠っていたスケキヨです。彼も記憶を共有していますのでしばらくしたら慣れるでしょう」『……まじかよ、これは俺じゃなかった……?』 大島は今の自分の体を確かめようとしたがそれができない。ただ存在自体はあり見える、聞こえる、話せるくらいである。『じゃあこれはいったい……』「人魂の状態ですね。私とだからこうして話すのとかできる。美守くんもね」『人魂……』「私がいるから喋られると思ってください。喋るというか念という概念ですが」 その言葉はとても不気味さを感じられる。がそれよりも……。「あなたは一体……ただの社長じゃない……あっ」 言ってるうちに思い出したのだ。 美守が倉田を見て怯えていたことを。『……』「あまり詮索するとダメですよ。こうして私と話せてる、とい
警察が到着した頃、部屋の中は異様な雰囲気に包まれていた。三葉は毛布で包まれ、倫典に抱きしめられている。その腕の中にはスケキヨ。「……なんだ、こりゃ……」 警察官が呆然と声を漏らす。部屋中の引き出しが開けられ、物が散乱しているが、特に異様なのは和室だ。 そこには大きい体に亀甲縛りで仰向けにぎっちぎちに縛られた泥棒が、泡を吹きながら失神している。「泥棒が暴れたので……彼女が縛ってくれました」 倫典が困惑気味に説明する。 彼自身も三葉が強盗をいとも簡単に亀甲縛りにしてしまうとは想像しておらず、その技量に驚いていた。 三葉は疲弊した表情をしているが、縛っていた時の彼女の顔は、倫典やスケキヨが愕然とするほど狂気に満ちており、どこか艶かしい雰囲気さえ漂わせていた。『三葉……なんでそんな縛り方を知ってるんだよ……』 スケキヨがそう思った時には、すでに泥棒は気絶し、微動だにしていなかった。「それよりも、倫典くん、病院に行かないと……さっき泥棒にやられてたじゃない!」 三葉が心配そうに言う。「これくらい、平気だ……うっ……」 倫典の右腕が鋭く痛み、そばにいた警察官が慌てて支えた。「三葉さんのほうを先に見てやってください! 彼女は……」 スケキヨが三葉に寄り添いながら訴えるが、そこで倫典が口を開いた。「彼女、妊娠してるんです」『……えっ!?』 スケキヨが驚き、三葉も静かに頷く。「ここでは冷えるし、体を休めないと……どこか具合が悪いところはありませんか?」 警察官も気遣いの声をかけるが、三葉はスケキヨを抱いたまま動こうとしない。「吐き気と眩暈が少し……でも……スケキヨを……この子、もともと持病もあってなおかつ泥棒に蹴られて……」 三葉が腕の中のスケキヨを見下ろした。その瞬間、彼女の顔が青ざめた。「……スケキヨ……?」 何かがおかしい。スケキヨの体は微動だにせず、その胸も上下していなかった。「スケキヨがおかしいの……!」 三葉の声が震え、倫典もスケキヨの体に手を伸ばす。『……妊娠してたんだな、三葉』「嘘だろ……スケキヨ……」 倫典が低く呟いた時、三葉の手からスケキヨの体温が急速に失われていくのがわかった。「お願い……目を開けて……スケキヨ……!」 三葉は震える手でスケキヨを揺さぶったが……返答はなかった。 その後、それぞれ
この音に気づいたのはまずスケキヨだった。『ん、なんだ……』 他の二人は全く気づかない。『まだ聞こえる。おれには聞こえるぞ』 スケキヨは耳をピンと立て、小さな唸り声をあげる。スケキヨとして転生したおかげで耳が人間の時よりも良いことに気づいた。 三葉、隣の布団でぐっすりと寝ている倫典もまた、日頃の疲れから深い眠りに落ちていた。 スケキヨは寒い中暖かい布団から出て忍び足で立ち上がり、今いる和室の襖を開けて音のする台所に向かった。 そこで耳を澄ませると冷蔵庫を開ける音。そして食べ物を下品に音を立てて食べている音。 スケキヨが低い声で威嚇するように唸り始めたその瞬間、三葉が目を覚まして襖が開いていることに気づいて部屋から出てきたのだ。「スケキヨ、どうしたの?」 『三葉、なんで起きてきた! 倫典は?!』 もちろんその言葉は届かない。スケキヨが真夜中のひんやりとした中で立ち尽くしていることに違和感を感じていたところに台所からまた音が。「……何?」 台所の奥に進んでいく。スケキヨは『やめろ!』 と止めにはいるが遅かった。 そこで三葉が見たのは、暗闇の中で動く人影だった。 背は低いが体格の良いスキンヘッドの男が、冷蔵庫の中身を取り出してむしゃむしゃと食べていたのだ。 三葉は息を呑んだ。「……誰……?」 その声にスキンヘッドの男がピタリと動きを止め、三葉を睨みつけた。「黙っていろ。騒ぐとどうなるかわかってるだろうな」 三葉はその時、先日警察署に行った際にマンション強盗に気をつけるようにと言われたことを思い出した。 まさか自分の部屋にも……と。 スケキヨが男の足元に飛びかかろうとするが、三葉はすぐにそれを制止する。「スケキヨ、だめ!」 だが男は気にする様子もなく、部屋を物色し始める。引き出しを開け、棚を漁る音が響く。「金目の物はどこだ?」 男が荒々しい声で問いかけるが、三葉は震えながら首を横に振る。「……そんなもの、ない……」 事実、大島の遺品でかろうじて価値がついたものは売って借金の足しにした。 男の目が鋭く光った。「お金ないならおまえさんの体、いいなぁ……胸も大きい……やばい」 三葉は胸の辺りを両手で隠す。 泥棒が三葉に向かって一歩踏み出したその時、布団がガサリと音を立てた。そして襖越しから「……三葉?」 倫
それから二ヶ月後。 三葉の家に足繁く倫典は泊まっている。翌週にはここに引っ越すという。荷物も来るたび置かれてすっかりここの住人になっている倫典。 三葉と和樹がいた寝室は物置になり、仏壇のある和室に布団を敷いて寝る形になった。 スケキヨは自分の遺骨のある仏壇のある部屋でよくもまぁいちゃつくなぁと思いつつ。 二人は着実に愛を育んでいた。大島とは違って積極的に家事をする倫典。スケキヨの世話もしっかりしてくれて感心するばかりだ。「スケキヨ……また残したのかい」 以前から食べていた病院推奨のキャットフードは喉が通らない。下痢も酷くしんどい。その世話も倫典がしてくれる。 それはさておきベタベタに愛し合ってる二人はつい先日スケキヨに大島がいるということをすっかりなかったかのようであった。 しかも三葉は「あのすけべさんが彩子さんと何もなかったなんて絶対ないわ。私は下手に騒がないだけよ」 と倫典と話をしていてひどく項垂れた。やはり女の勘は怖い……もう弁明することもできないものだろうか。『ああ、しましたよ。そのツケが来てるんだな』 彩子との関係を認めざるおえなかったがそれは伝えられないが。 どうやら美帆子から連絡あったみたいで美守があれからかなり体力を使ったようで熱が出てしまったようである。 なのでやはりしばらくはやめよう、と三葉は思ったらしい。 これは申し訳ない……スケキヨはそう思うが連日寝不足のスケキヨも昼寝ばかりしている。食欲もない。調子が悪い。 二人がそのような関係になる前から実は調子良くなかった。 キャットフードが受け付けられなかったときに選り好みをしていた際に栄養失調になったことも影響があるのかもしれない、なんて思っていた。 まぁまだスケキヨは若い、また治療すればよくなるだろうなんて思っていたのだが。「やっぱり調子悪いのかなぁ……」 と三葉がつぶやき、スケキヨを抱きかかえながら病院へ向かう。もう慣れたかのように倫典の車に乗り込む三葉。 倫典はその横で、「食欲が落ちてきて、ちょっと元気がないって言ってましたもんね。心配ですね」 と心配そうに言った。 三葉はスケキヨをしっかりと抱えながら、顔を覗き込む。「スケキヨ、また元気ないの? どうしちゃったんだろうね……」 スケキヨは少ししょんぼりとした様子で、小さく「ニャー」
静まり返った部屋。ソファーには三葉が座り、彼女の腿の上にはスケキヨが丸くなっていた。三葉の手は優しく猫の頭を撫でている。その仕草を見ていると、スケキヨは少しほっとしたような気分になる。『よしよし……今日は三葉も少し元気そうだな。倫典も役に立つ時が来たかもな』 スケキヨは微睡みながらも、耳をピクピク動かして気配を探っていると、倫典が台所から戻ってきた。二人分のコーヒーを持って、そっと三葉に声をかける。「三葉さん、今日はお疲れさまでした。コーヒー、どうぞ」「ありがとう……」 三葉は受け取ったカップを両手で包み、コーヒーの香りを吸い込んだ。倫典は隣に腰を下ろし、彼女の様子を伺うようにちらりと横顔を見た。「三葉さん……和樹さんのこと、少し信じられましたか?」 三葉は少し考え込み、スケキヨの背を撫でながら答えた。「信じたいと思う気持ちはあるわ。でも、聞いて思ったの。もし和樹さんが本当にスケキヨの中にいるのなら……もっと話したいこと、聞きたいことが山ほどあるのに」 倫典は真剣な表情で頷きながら、彼女の言葉に耳を傾けた。「そうですよね。でも、今日みたいに話せる時間がまたあったらなぁって」「でも美守くんも大変よね……まだ小学生なのに酷なことしたわ」「そうですね……そう思うともういいかなぁって」 三葉と頷く。スケキヨはそれを聞いてぴくっと動いた。優しく頭を撫でる。「スケキヨ……和樹さんいるのかなぁ」「いた方がいいです?」「んー、正直言ってあまり信じないけどね」 と笑った。倫典もだ。『え、信じてたんじゃ?』「にしても今日もまた戻ってくるとは思ったわ。忘れ物か何かで」「忘れ物はしませんでしたよ。ただ二人きりになりたくて……戻ってきました」 倫典はどことなく真剣な眼差しで三葉を見てる。「あら、倫典くん……どことなくすごく真剣」「僕だって時には真剣になります」「そうね、真剣な時もないと」 という2人の取り止めのない会話を聞かされてスケキヨはこの場から立ち去るかどうか悩んでいる。『倫典、いい加減に言っちゃいなよ。倉田いないんだからグイグイいけよ』 とジッと倫典を見ると一瞬彼と目が合った。そして倫典はまた三葉を見た。「三葉さん。倉田さんと僕、どっちがいいですか?」『よし来た!』 突然の質問に、三葉は驚いたように彼を見た。「どっちっ